May 9, 2014

カナダ再訪記(主に自分探し)10/14

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Photo & Text by Gocky (Valicam Records)

十月十四日(土)

 今日は夕方からマキの家でパーティーをするので、朝食を食べてから待ち合わせの時間まで一人で散策に行くことにした。
 イエールタウンの近くにいい芝生の公園がある。ベンチに座って目の前を流れる川をぼんやりし見ていると、以前ある友人に言われたことが頭に浮かんだ。
 友人が言うには、僕は悩みも含めて自分のことを話さない、人に気を使いすぎていてどんな人か理解できないということだった。聞いた時はかなりショックを受けた。今まで誰にでも裏表なく同じような態度で接してきたはずなのに。だが話を聞くと、その友人が僕のことを理解できないのは、人の話を聞いてばかりで自分のことを話さないから。気を使いすぎているように見えるのは、例えば相談を受けた時にその人を傷つけまいと意見しているみたいだからだという。
 確かに自分のことはあまり話していないかもしれない。でもそれは自分で話下手だと思っているし、話すほどのこともないから話さないというだけのつもりだった。とはいえ、考えてみると人の話は聞きたがるくせに、ここ何年か自分の相談はしていない。
 もしかしたら、結局最後は自分で決断しなければいけないので、誰かに相談しても答えが出ないと思っているのではないか。人の相談に乗って解決していくことは好きなくせに、自分のことは誰も分かってくれないとか思ってるんじゃないだろうか。変に冷めている自分を見つけてしまったような気がしてぞっとした。

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 その後マクドナルドでランチをとり、少しふらつくことにした。
 アイスホッケードームの前を通ると、何やら黄色いウィンドブレーカーにベレー帽をかぶった子供たちが集まっている。その中に同じ格好をして何かを指示する大人も混じっていた。さらに歩くと歩道に同じ格好で、「Apple Day」という看板と、リンゴの入ったバスケットを持った子供がいた。どうやら募金のようだ。写真を撮りたかったので1ドル募金するとリンゴをくれた。年は離れてそうだがずいぶん仲がよく、まるで兄弟のようだ。
 街を歩いていて思うのだが、スケボーに乗っている人が本当に多い。キャップにハーフパンツのいかにもスケボーしてるような人だけでなく、ジーパンにショルダーバックの大学生風の若者もいる。バックトゥザフューチャーみたいだ。

 さらに知らない道を歩いていくと、何となく見覚えのある道へ出た。ホームステイしていた時の帰り道、ヘイスティング・ストリートだ。もともと危険な通りなのだが、何だか前よりさらに危険になっている気がする。落書きや窓ガラスが割られている店が増えているし、酒かドラッグでベロベロになりながら警官に何か怒鳴っている男など危険な人も増えていた。通い慣れた道でまだ昼間なのにもかかわらず、ここに長くいたら危ないなと本能で感じたので集合場所のスーパーマーケットへ向かうことにした。

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 今日は学校の友人以外に、アズサの友達というカルヴァンという17歳の台湾人の男の子も参加するらしい。アズサから前もって聞いていたのだが、カルヴァンはネイティブと同じ高校に通っているものの、言葉がうまく通じず学校が楽しくないらしい。人見知りもするのでよかったら色々話を聞いてあげてほしいと言われていた。
 スーパーの買い物を終えてマキの家の前で待っていると、アズサと一緒にカルヴァンがやってきた。背は高くないが目がパッチリして男前だ。しかしあいさつするもやはり緊張しているようだ。
 マキの家に行き女性陣は料理を作る。邪魔になるから何も手伝わないでくれと言われてしまった僕とカルヴァン、韓国人のニックは三人で談笑する。
 人見知りだと聞いていたカルヴァンだが、全然そうは感じずむしろ積極的に話してくれる。ヘッドホンを首にかけているので音楽が好きなのかと思い聞いてみるとヒップホップが好きらしい。そんな話をしているとカルヴァンがいきなりエミネムを歌い出した。突然で驚いたが速いのに発音がとてもよくて歌もうまい。アズサがいうには発音よりもリスニングがすごいらしい。こんな速い曲もちゃんと聞き分けられるということか。
 乾杯してしばらく話していたが、そのうちゲームに負けたら一気飲みなんてことをし始めた。そんな無茶をしたからか、カルヴァンがラップを執拗に歌ってくる。最初は面白かったがあまりに話の腰を折って歌ってくるので、しまいにはカルヴァンを押さえ付けてガムテープで口をふさいでしまった。いつの間にか人見知りのことなんて誰も気にしなくなっていた。
 ニックとカーリー、その後カルヴァンが帰り、夜がふける頃にはきれいに日本人のみになった。マキの家は騒げないのでアズサの家に移動することになったのだが、着くなりびっくりしてしまった。20階はありそうな大きなマンションでエントランスも広く、とても若者が住む所ではない、家賃も高そうだ。聞くと一人で住んでいるのではなく、日本人の友達三人でシェアしているらしい。

 アズサのルームメイトであるコウヘイも加わって軽く飲み直す。しばらく話して、香取慎吾の英会話番組であったベラベラブックという英会話の本を使ってみんなで問題を出し合うことになった。しかし、みんなスラスラ答えられるのに対して僕はほとんどすぐに答えられない。みんなほぼ同時期に留学したのに自分だけ段違いに英語ができないという差を感じた。今までみんな頑張って英語を勉強していたのに自分は何か形に残る何かを得たのだろうかと思い、酒のせいもあり落ち込んでしまった。そんな心情を知ってか知らずかアズサがうまいことフォローしてくれたのが嬉しかった。
 それぞれの人生観や仕事観やも色々話した。仕事観はみんな様々。話を聞いてどうも僕は頭が固い気がした。そしてやはり海外で暮らすことを決意してきただけにみんなきちんと自分を持っている。中でも感銘を受けたのがマキの一言。
「何で年齢を気にする必要があるの?」
 これは昨日マキの家でキアと話している時にも言われた。
 現在僕は24歳。ストレートで社会人になっていれば3年目だ。倉本など大学を卒業してそのまま働いている友達はキャリアもだんだん積んでいっている。一方自分は社会人経験は一年しかない。もちろん前の会社では良くも悪くも色々経験できて良かったと思うが、現在の状況で将来は大丈夫なのかと思うことは内心あった。だんだんと、自分の選んだ道を変えられないプレッシャーは確かに感じていた。
 だから若いキアを見て「うらやましい」と言ってしまったのだろう。でも自分より年上のマキも含めて、ここにいるみんなはそんなことは気にせず生活している。本当は自分だってそんなこと気にせず生きたいのに、もともと慎重な性格なのでいまいち踏み出せないのだ。その意味でマキのこの一言は本当に感銘を受けた。
 だいたい3時半頃まで話してお開きとなった。ベッドに空きがないので床で寝たが、カーペットだったので問題なく眠ることができた。

Photo & Text by Gocky (Valicam Records)
前回から一週間ほどの再訪編の連載です。20代前半で書いたものなので今読むとだいぶ恥ずかしいというか痛々しいですが、恥ずかしい気持ちになりたい時はぜひどうぞ。東京写真部にも参加してます。

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